自賠責保険と任意保険それぞれの加入義務と保証内容を紹介
自賠責保険の加入は必須条件！任意保険は最適なプラン選定がカギ
自賠責保険と任意保険
車の保険は自賠責保険と任意保険の2種類があり、どちらも車両単位で加入する必要があります。
自賠責保険は強制保険とも呼ばれていて、ナンバープレートを付けて公道を走る全ての車両が自賠責保険に加入しないといけません。
無保険車両で公道を走った場合は道路交通法で一発免停になる違反点数6点に加えて、自動車損害賠償保障法によって1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑を科せられる場合があります。
多くの運送業者が該当する一般貨物自動車運送事業許可についても、無保険車両を使用する重大な違反があれば事業許可取消など重たい処分を受ける可能性があります。
任意保険は無保険でも道路交通法違反にはなりませんが、任意保険に未加入の状態で事故を起こすと多額の賠償責任を負う可能性があるので注意してください。
職業ドライバーの場合は法律では任意になっていても、元請業者などから対人賠償無制限、対物賠償5,000万円以上など一定の要件を満たす内容での任意保険加入が仕事を請ける条件になっているケースが多いです。
自賠責保険の補償内容
自賠責保険は被害者救済を目的にした、対人賠償に特化した強制保険です。
補償内容は被害者1名につき死亡で3,000万円、後遺障害で3,000万円（常時介護の時は4,000万円）、傷害で120万円の補償内容になっています。
対物賠償は一切の補償がなく、被保険車両に乗っていたドライバーや同乗者も補償の対象外です。
加害者が無保険で被害者への賠償金を一切支払えない状況を避けることを目的にした最低限の保険制度で、対人賠償限定で保険金の上限を設定しているため保険料は安価です。
自賠責保険の保険料
自賠責保険の保険料は損害保険料率算出機構が算出していて、どこの保険会社から加入しても保険料は一律です。
ちなみに自賠責保険は代理店型損害保険会社を中心に取り扱い保険会社が10社ほどあります。
保険の加入期間は車検の有効期限内をカバーする必要があり、車検満了日の1ヶ月ほど先までを自賠責保険の加入期間にするのが一般的です。
乗用車の場合は新車購入時は37ヶ月で加入し、車検を受けるタイミングで自賠責保険を24ヶ月または25ヶ月で更新します。
職業ドライバーが乗る商用車は車検期間が1年になっていることが多く、最大積載量2トン超え自家用貨物自動車の自賠責保険料は12ヶ月の場合で18,230円です。（令和6年3月現在）
車検がない125cc以下のオートバイなどは自賠責保険の加入期間を1～5年で選択でき、保険期間が長いほど1年あたりの保険料が割安になります。
自賠責保険は営利を目的にしていないため、保険金の支払い状況に応じて定期的に保険料が見直されています。
任意保険
自動車における任意保険は自賠責保険でカバーできない部分を補うための保険です。
対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険による4つの分野から構成されていて、補償プランを自由に選択できます。
対人賠償は自賠責保険の上限を超えた部分を任意保険で補償する流れになりますが、自賠責保険だけで補償できる場合でも、加入している保険会社が過失割合の交渉や被害者もしくは相手の保険会社とのやり取りをしてくれます。
任意保険に加入せずに自賠責保険のみの車両で事故を起こした場合は、過失割合の交渉や被害者とのやり取りなども自分でしないといけません。
対物賠償においても過去には1億円を超える賠償請求が認められた判例があるため、無制限など高額な内容で任意保険に加入することを推奨します。
家族を養っている場合は人身傷害を手厚くするなど、万が一の事故でも遺族の生活が困らない保険の掛け方をしておくとよいでしょう。
車両保険は任意保険でもっとも高額な部分ですが、職業ドライバーは事故で車両が使えなくなると業務に支障が出ます。
車両保険にしっかり加入し、代車特約なども付帯しておくと安心です。
任意保険の保険料
任意保険の保険料は各保険会社で自由に設定することができ、過去の保険請求歴が反映される等級によって保険料率が変わります。
ほかにも運転者の年齢や免許の色（ゴールド・ブルーなど）、走行距離など様々な項目で保険料率が変わる仕組みです。
車両ごとでも料率区分が設定されていて、商用車などの任意保険は全体的に料率が高めに設定されています。
様々な補償の有無を一つずつ検討してプラン選定をする必要があり、事故を起こした際は保険を使うべきか自腹で対処して等級ダウンを避けるべきか最適な選択を見極めることが大切です。
まとめ
自賠責保険と任意保険は商用車に限らず乗用車も同様に加入しているものです。
自家用乗用車と職業ドライバーが乗る商用車で根本的な仕組みは同じですが、商用車は保険料率が高い傾向があり、事故を起こした際に生じる業務への支障を考慮しないといけません。
自賠責保険の加入は絶対条件で、任意保険のプラン選定で収益性や事業の継続性が大きく変わってきます。